2012年01月19日
意味が分かると怖い話 解説53
田舎の婆ちゃん家の話。
婆ちゃんの家は、十字路の交差する部分に隣接して立っていたので、
道はすごく見通しが悪かった。
そのせいか事故が多発して、俺は家庭の事情で、
小学生の時婆ちゃん家に住んでたんだけど、その間事故を何回も見た。
俺が見た事故はなぜか毎回、車が婆ちゃん家に突っ込むように当たってくるんだよね。
もの凄い音がして、家が揺れて、驚いて外にでると、
ひしゃげた車が塀につっこんでいる。
クラックションが鳴りっぱなしで、うめき声がして、車内を覗くと、
血を流して倒れてる人がいる。
そんな事故を見るのはショックだったけど、だんだん慣れてきた。
なにしろ月に一度のペースで起こってたし、死人は一人も出てなかったから。
というのも、道を挟んだ向かいの交差点の隣接地には、お地蔵さんがいた。
何度も事故があるのに死人がでないのは、お地蔵さんのおかげだと婆ちゃんは言っていた。
お婆ちゃんは、よくお地蔵さんの夢を見るらしい。
俺が一緒に住みだしてからは、
「お地蔵さんが『孫は良い子だ』と褒めてくれた事もある」
といっていた。
幼い俺は、婆ちゃんが言うならそうなんだろうなって信じて、
毎日お婆ちゃんの勧めるまま、お地蔵さんを拝んだりしていた。
そのお地蔵さんは赤い頭巾を被ってて、無表情な顔で目を開いてるんだ。
なんか、前にいるとじっと見られてる見たいで、
拝んでる時も不思議な気分だった。
それに、真っ赤なしゃくなげの花がいつも備えられているのが
印象的で、正直怖いと感じてた。
ある日、あまりにも事故が起こるから、婆ちゃんの家を
役所が買いとって壊す事になった。
婆ちゃんも引っ越しに納得して家は壊され、俺は転校し、
両親の家に帰って一緒に暮らす事になった。
交差点は凄く見透しが良くなった。なのに、その後一件だけ
事故が起こった。死亡事故が。
犠牲者は俺と同じ年の小学生で、元同級生だった。
だけど、一度も話した事のない子だったので、それほど悲しいと思わなかった。
俺は一応葬式に行き、そのあと親族でお婆ちゃんの家に泊まった。
その時に事故の話題がでて、婆ちゃんは言った。
「事故に遭った人はみんな、『小さい子供が飛び出した』っていうから、
最初はあんただと思ってひやひやしたよ」
「違うよ」
「だよねぇ。事故はいつも、あんたが家の中にいる時にあったもんねぇ」
「そういえばそうだっけ」
「そうだよ。だけど、みんな『赤い帽子を被った子供が飛び出した』
っていうんだよ。あんたいつも赤い帽子被ってるじゃない」
小学生の時、俺はいつも赤白帽子を赤にして被っていた。
「違うよ。絶対、僕じゃない」
「わかってるよ。お前はお地蔵さんも褒めるくらい良い子だからね」
「なんていって褒めてたの?」
「良い子だから、友達になりたいっていってたよ」
「友達?」
「寂しいから、毎日顔を見せてってさ。毎日お参りさせてただろ?」
「うん」
「引っ越しの前の日も、夢に出てきたんだよ。
『孫はいなくなるのか?』って寂しそうに聞いてたね」
俺は怖くなって、それ以来お地蔵の前に立っていない。
それから何年かして誰かに、あのお地蔵さんは供養地蔵なのだと聞いた。
ここから解説
お地蔵さまは語り手を殺して友達になろうとしていた。
その語り手がいなくなり、代わりに同級生が殺された。
婆ちゃんの家は、十字路の交差する部分に隣接して立っていたので、
道はすごく見通しが悪かった。
そのせいか事故が多発して、俺は家庭の事情で、
小学生の時婆ちゃん家に住んでたんだけど、その間事故を何回も見た。
俺が見た事故はなぜか毎回、車が婆ちゃん家に突っ込むように当たってくるんだよね。
もの凄い音がして、家が揺れて、驚いて外にでると、
ひしゃげた車が塀につっこんでいる。
クラックションが鳴りっぱなしで、うめき声がして、車内を覗くと、
血を流して倒れてる人がいる。
そんな事故を見るのはショックだったけど、だんだん慣れてきた。
なにしろ月に一度のペースで起こってたし、死人は一人も出てなかったから。
というのも、道を挟んだ向かいの交差点の隣接地には、お地蔵さんがいた。
何度も事故があるのに死人がでないのは、お地蔵さんのおかげだと婆ちゃんは言っていた。
お婆ちゃんは、よくお地蔵さんの夢を見るらしい。
俺が一緒に住みだしてからは、
「お地蔵さんが『孫は良い子だ』と褒めてくれた事もある」
といっていた。
幼い俺は、婆ちゃんが言うならそうなんだろうなって信じて、
毎日お婆ちゃんの勧めるまま、お地蔵さんを拝んだりしていた。
そのお地蔵さんは赤い頭巾を被ってて、無表情な顔で目を開いてるんだ。
なんか、前にいるとじっと見られてる見たいで、
拝んでる時も不思議な気分だった。
それに、真っ赤なしゃくなげの花がいつも備えられているのが
印象的で、正直怖いと感じてた。
ある日、あまりにも事故が起こるから、婆ちゃんの家を
役所が買いとって壊す事になった。
婆ちゃんも引っ越しに納得して家は壊され、俺は転校し、
両親の家に帰って一緒に暮らす事になった。
交差点は凄く見透しが良くなった。なのに、その後一件だけ
事故が起こった。死亡事故が。
犠牲者は俺と同じ年の小学生で、元同級生だった。
だけど、一度も話した事のない子だったので、それほど悲しいと思わなかった。
俺は一応葬式に行き、そのあと親族でお婆ちゃんの家に泊まった。
その時に事故の話題がでて、婆ちゃんは言った。
「事故に遭った人はみんな、『小さい子供が飛び出した』っていうから、
最初はあんただと思ってひやひやしたよ」
「違うよ」
「だよねぇ。事故はいつも、あんたが家の中にいる時にあったもんねぇ」
「そういえばそうだっけ」
「そうだよ。だけど、みんな『赤い帽子を被った子供が飛び出した』
っていうんだよ。あんたいつも赤い帽子被ってるじゃない」
小学生の時、俺はいつも赤白帽子を赤にして被っていた。
「違うよ。絶対、僕じゃない」
「わかってるよ。お前はお地蔵さんも褒めるくらい良い子だからね」
「なんていって褒めてたの?」
「良い子だから、友達になりたいっていってたよ」
「友達?」
「寂しいから、毎日顔を見せてってさ。毎日お参りさせてただろ?」
「うん」
「引っ越しの前の日も、夢に出てきたんだよ。
『孫はいなくなるのか?』って寂しそうに聞いてたね」
俺は怖くなって、それ以来お地蔵の前に立っていない。
それから何年かして誰かに、あのお地蔵さんは供養地蔵なのだと聞いた。
ここから解説
お地蔵さまは語り手を殺して友達になろうとしていた。
その語り手がいなくなり、代わりに同級生が殺された。
Posted by 山川良太 at 18:34│Comments(1)
│怖い話
この記事へのコメント
こんにちは!
主さんのまえの記事に張っていたクリーパーの「よんだ?」
ってサムネが気に入って使わせていただきたいんですがよろしいでしょうか?
主さんのまえの記事に張っていたクリーパーの「よんだ?」
ってサムネが気に入って使わせていただきたいんですがよろしいでしょうか?
Posted by ののん at 2012年01月19日 19:07